お客様から寄せられるご質問とその回答をまとめて掲載しています。
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材料・材種について

Q
石英ガラスとはどのような素材ですか?
A

石英ガラスは、高純度のシリカ(SiO₂)を原料とする特殊ガラスで、
高い耐熱性 / 耐薬品性 / 透明性 / 非常に低い熱膨張率 を持っています。
半導体・理化学・光学機器・医療分析など、高いクリーン性と耐久性が求められる分野で広く使用されています。

Q
溶融石英(天然石英)と合成石英の違いは何ですか?
A
項目溶融石英(天然由来 SiO₂ 溶融)合成石英(高純度シリカを合成生成)
不純物含有やや多い非常に少ない(高純度)
紫外透過率標準的非常に高い
主な用途一般産業用途半導体・光学用途などクリーン性重視分野

用途に応じて最適な材質選定をご提案いたします。

Q
酸水素溶融品と電気溶融品の違いはありますか?
A

石英ガラス・溶融石英(天然石英)には、酸水素溶融品電気溶融品の2種類があり、製法や特性が異なります。

項目酸水素溶融品電気溶融品
製法酸素+水素バーナーの炎でシリカ砂を溶融電気炉の抵抗加熱により溶融
特徴透明性が高く、加工性に優れる大型ブロックなど量産・大型形状に適する
OH基(含水量)比較的多い(水素炎による影響)非常に少ない(乾式プロセスのため)
光学特性深紫外での透過率が高い傾向赤外領域で吸収特性が安定しやすい
Q
他のガラスとの比較で、石英ガラスは何が優れていますか?
A

石英ガラスは、一般的なソーダガラス・ホウケイ酸ガラスと比べて、以下の点で優れた特性を持っています。

特性特徴説明
耐熱性1,000℃以上でも使用可能軟化点が高く、高温環境下でも変形・劣化が少ない
低熱膨張熱膨張係数 約 0.5×10⁻⁶/K急熱・急冷に強く、温度変化による寸法変化が極めて小さい
耐薬品性多くの薬液に対して安定フッ酸以外にはほとんど侵されず、半導体洗浄工程などで使用可能
光透過性深紫外〜赤外まで広い波長域で高い透過率光学用途・UV照射・分析装置にも適する
高純度極めて不純物が少ない金属イオン等の混入が少なく、クリーン環境に最適

石英ガラスは、高温に強く、熱衝撃に強く、薬品に強く、光をよく通し、不純物が極めて少ない、高度な産業用途に適した特殊素材です。

特性・用途について

Q
石英ガラスはどのような分野で使用されていますか?
A

半導体製造装置、洗浄槽、治具、理化学ガラス、光学部品、医療・バイオ装置、分析装置など幅広い分野で使用されています。

Q
耐熱性・透過率・耐薬品性はどれくらいですか?
A

石英ガラスは、以下のように高度な物性を持つ素材です。

特性性能説明
耐熱性軟化点 約 1,660℃高温環境下でも形状・寸法の安定性を保ちます。
耐熱衝撃性急熱・急冷に強いただし、局所的な一点加熱は応力集中により破損の原因となるため注意が必要です。
耐薬品性フッ酸を除く多くの薬品に対して安定酸・アルカリ・有機溶剤に対して優れた耐性があり、半導体洗浄工程にも適しています。
光透過性深紫外〜赤外にかけて高い透過率分析装置・UV照射・光学用途にも使用される透明性を持ちます。

用途イメージ

  • 高温プロセス・炉内治具
  • 半導体洗浄槽・薬液処理治具
  • UV照射窓・分析セル・レーザー光学部品

など、温度・光・薬液すべての耐性が必要な場面で選ばれる素材です。

Q
 「失透(白濁化)」はなぜ起こりますか?防げますか?
A

石英ガラスは、非常に高純度で非晶質(アモルファス)構造を持ちますが、
約 1,150℃ 以上で長時間加熱されると内部構造が秩序化し始め、結晶(クリストバライト)へ変化する場合があります。
この構造変化により、光が乱反射し、白く濁ったように見える現象を「失透(しっとう)」と呼びます。

失透が起こりやすい条件

  • 高温(1,150℃以上)での長時間加熱
  • 局所的な部分加熱(バーナーの一点集中など)
  • 表面に微細な傷・加工応力が残っている状態
  • 汚れ・付着物が残ったまま高温加熱した場合

表面状態や応力状態が影響するため、同じ温度でも使用条件により進行度が異なります

  • 石英ガラスは高温に強い素材ですが、**長時間の高温保持で結晶化 → 白濁(失透)**することがあります。
  • 応力除去(アニール)・温度管理・均一加熱・清浄管理により、失透は大幅に抑制できます。

加工仕様・対応可能性について

Q
どのような加工が可能ですか?
A

【対応可能な加工】

当社では、機械加工と熟練技術者の手作業による溶接加工を組み合わせ、多種多様な石英ガラス製品を製作しています。
表面仕上げは、『焼仕上げ(透明)』・『研磨仕上げ(透明)』・『サンドブラスト仕上げ・研削仕上げ(曇り)』の3種類に対応しています。

【主要加工技術】

■切断・切削・研削加工(機械加工)
  • 切断加工:ダイヤモンドバンドソーでのスライス加工
  • 切削加工:精密な形状加工
  • 研削加工:平面・円筒・異形研削
  • 研磨加工:透明仕上げ
  • センタレス加工:均一な円筒研削
  • テーパー加工:傾斜面の加工
  • ザグリ加工:くぼみ加工
  • 溝切加工・スリット加工:細かな溝の形成
  • 穴あけ加工:精密な貫通・非貫通穴加工
  • ネジ加工:ねじ山の形成
  • シャワー管加工:微細な穴あけ、フィッティング仕様
■ 溶接・火加工(手加工・熟練技術)
  • ガラス溶接加工:強度の高い接合加工
  • 火加工(ファイヤーポリッシュ):透明仕上げ
  • 丸封、平封加工:端部の密閉加工
■ 表面処理・仕上げ加工
  • アニール加工:歪み取り・内部応力除去(耐久性向上)
  • サンドブラスト加工:表面曇り仕上げ・刻印加工
■ 修理・修復・再生加工
  • 石英ガラス製品の修理・修復:ヒビや割れの再生加工
  • 洗浄加工:フッ酸洗浄

その他、石英ガラス加工の事ならお気軽にお問い合わせください。
図面・仕様検討段階でのご相談にも対応します。

Q
図面がなくても加工できますか?
A

可能です。
用途・寸法条件を伺い、当社で図面化 → 製作案をご提案します。
現物採寸・複製・改善提案も対応します。

Q
1点もの・小ロットでも対応可能ですか?
A

はい、試作1点〜量産まで対応いたします。

Q
支給材での加工依頼は可能ですか?
A

可能です。
材質情報・状態確認のうえ、最適な加工方法をご提案します。

Q
修理や再生加工はできますか?
A

はい。破損修理・磨き直し・形状再生に対応します。
写真をいただければ判断がスムーズです。

Q
寸法精度はどの程度ですか?
A

形状・加工工程により異なりますが、
一般部品で ±0.05〜0.1mm、精密部は個別相談により対応可能です。 (機械加工品、火加工品で寸法公差は異なります。)

見積・納期・お取引について

Q
納期はどのくらいですか?
A

製品によって異なりますが、通常 1〜3週間前後
大型の石英槽となると約3週間~ となります。 ご希望の希望納期に応えられるよう進めて参ります。
短納期対応もご相談ください。

Q
見積に必要な情報は何ですか?
A

以下のいずれかをご用意いただければ見積可能です。

  • 図面(PDF 等)
  • 手書きスケッチ
  • 現物写真 + 寸法
  • 使用目的・装置条件など

当社は、石英ガラス加工を通じてお客様の研究開発・生産現場を支える技術パートナーです。

「この形はできるだろうか?」
「改善できる方法はあるだろうか?」

という段階から、ご相談ください。
最適な素材選定から設計〜加工〜洗浄〜納品まで一貫対応いたします。